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私の普通が誰かの特別かも。誰かの役に立てれば幸いです。

Boeing787に初めて乗ってきた(9)787搭乗

搭乗その② 787に乗る 那覇→羽田 B787-9

日時:2022.4.10(日) 12:10 - 14:35
路線:那覇→羽田
便名:ANA NH464
機材:B787-9 (JA937A)

 

 

「Boeing787に初めて乗ってきた」というタイトルなのに、ここまで全然その話になりませんでしたが、第9回にしていよいよ乗った時の話にうつります

 

食事を終え、時刻は10時57分。出発時刻の1時間13分前。私の搭乗する32番スポットを見ると既に787が停まっていました。おおっ!ついにご対面!と思ったのですが、よく見ると787-9ではなく胴体の短い787-8でした。どうやら前の便のようです。焦ってはいけない焦ってはいけない。その奥にも787-8。2機並んで停まってました。いいですな。

左を向くとJALA350。おお、最新鋭機種(というほどもはや新しくもないですが)同士の共演ですな。こちらもいいですな。

一旦はやる気持ちを落ち着かせ、お土産売り場に行って家族へのお土産を購入しました。そして保安検査場を通り中に入りました。

32番スポットに向かうと、これから乗るピカピカの787-9とついにご対面!気分が高まってきました!

機体番号はJA937A。この機体に巡り合えて私はとてもラッキー!なぜかというと...

 

JA937Aとは...
アメリカ北西部にあるボーイングのシアトル・エバレット工場にて製造された787のうち最後の号機。1095号機。
これ以降の787は全てアメリカ南東部サウスカロライナ州にあるノースチャールストン工場のみで製造されています。
また、787のエンジンにはRolls-Royce社製とGE社製の2つがあり、ANAはこれまでRolls-Royce社製のみを採用してきたが、数年前に不具合が見つかり787の運用が中止されたことがあったことから、GE社製も採用することとしました。
ANAは2022年4月現在、約80機の787を所有している。そのうち、JA937AはANAの2機目のGE社製エンジン787であり、2021年11月にANAに納入され、同年12月から運用されています。

 

という、記念すべきエバレット工場製最後の787。
しかも、今回の搭乗の数日前に機材変更でたまたま今回の便に充てられたもので、
まさにラッキーとしか言いようがない巡り会わせ。

 

その機材変更にも一喜一憂したわけで。というのも、今回の旅は787に乗ることが目的で、搭乗の1か月くらい前に予約したときには機材変更がないことを願っていました。


しかし、搭乗4日前にANAから「機材変更のお知らせ」なるタイトルのメールが届き、えーっ、まさか本当に787ではない機材になってしまったのか!?わざわざ沖縄まで行くのにー、と焦りながらメールを開きました。

 

でも、一読するだけでは何がどう変更されたのか分かりませんでした。座席番号は変わってないし、機材も787-9のまま。一体どういうことかと思い詳しく調べてみると、Rolls-Royce社製エンジンの機体からGE社製エンジンの機体に変更され、かつプレミアムクラス席の数が増えてエコノミー席が減る、という変更だったことが分かりました。

 

なんだ、787-9のままなら全然構わないや、とホッとした次の瞬間、「ん?ANAのGEエンジン機材って珍しいんじゃなかったっけ?」と気付き、調べてみると... 上記の通りエバレット工場製最後の納入されたばかりの787という、むしろ機材変更万々歳という嬉しいお知らせだったのです!

 

【参考】機材の詳細はこちら。今回は「789」から「78G」に機材変更されました。

www.ana.co.jp

 

余談ですが、GE社製エンジンの787自体は珍しくも何ともありません。JALの787はGE社製エンジンですし。珍しいのはANAだからなだけです。

 

以上の話、旅客機に特に興味のない方には、ふーん、という程度の話でしょう。例えれば、タクシーにそれほど興味があるわけでない私からすれば、「このタクシーはトヨタの○○工場で作られた最後の1台で、エンジンも違うんですよ!」と言われているようなものでしょう(車のエンジンにメーカーの違いがあるのか知りませんが)。まぁ、人の趣味なんてそんなもんです。本人が楽しければそれでよし

 

さあ、いよいよ搭乗ゲートが開きます。

 

搭乗ゲートを通過して進んでいくと、座席番号によって行く手が二手に分かれていました。左はL1ドア、右はL2ドアから乗り込みます(LはLeft(左)の意味で機体の前から順にL1, L2, L3, L4と呼び、右側(Right)のドアは同様にR1, R2, R3, R4と呼びます)。
私の座席はK席なので左のL1ドア側からの搭乗。個人的には設計で携わった付近のL2ドア側から乗りたかったので、ちょっぴり残念。まあプレミアムクラスを見られるので良しとしました。

 

乗った瞬間、新車の匂いがしました。さすが、納入されてまだ5か月ほどの機体だけあります。

 

さて、座席に着きました。なるべく早く乗って遅く降りたかったので機体後方の座席を選びました。
787は窓が大きいのが特徴の一つですが、本当に大きいですね。

そしてこれが噂の窓の明るさを調整するボタンですな。おそらく正式名称があるのでしょうが、あいにく私は存じ上げません。

 

さっそく操作してみました。これが明るさマックス。

 

そして、これが暗さマックス(と思うのですが、1分くらいかけてじわりじわりと変化していくので、もっと待てばもっと暗くなったのかもしれません)。案外透けて見えますね。

 

と思って、あとで飛行中にもう一度試してみたのがこちら。ボタンを押してしばらく放置しておきました。おお、外の主翼がまだ透けて見えるものの、さっきより暗いですね。それか、もしかしたらさっきは5段階のマックスまでボタンを押していなかったのかも。

 

前席の方が暗くしていたので(何段階かは不明)、私の席と一緒に撮影してみました。入ってくる光の量は明らかに違いますね。

 

ANAのサイトにも比較写真がありましたのでご参考まで。

www.ana.co.jp

 

座席前方下部にはコンセントがありました。

 

また、モニター下部にはUSBポートも。

 

モニターは13.3インチのタッチパネル式。ほぼ座席幅いっぱいでとても大きいです。
モニター含めシート自体が新しく導入されたものだそうです。詳細はこちら↓。

www.ana.co.jp

 

安全のしおりも確実にチェック。

 

とここで、この記事を書いている際にネットで安全のしおりを検索してたまたま気付いたのですが、安全のしおりってたまに改定されているんですね。
私が撮影したものには酸素マスク着用の図の秒針のマークは一番右の図のみに10秒のものがひとつ描かれているだけですが、ネットで検索した787の他の画像では、他の図にもそれぞれ0秒、5秒の秒針マークが描かれていました。
今回の最新版にて最後の10秒のみに絞られているので、途中の秒数はあまり気にしなくてよいものだった、ということなのでしょうね。

 

しおり右下に「200401」とあるので、20200401日改定版ということでしょう。

 

ところで、この秒数表示の削除よりもっと重要であろう改定内容がありました。それは、緊急時の衝撃防止姿勢の変更です。

 

下記リンク先の記事によると、

 

国際民間航空機関 (ICAO) において、緊急時の衝撃に起因する負傷を最小限にする姿勢についての検証・議論等が行われました。
その結果、今般、「緊急時において旅客が避けるべき姿勢及び旅客に推奨される衝撃防止姿勢」が示されました
これを受け、日本の各定期航空会社においても 2020 年 4 月 1 日から順次、この推奨された衝撃防止姿勢に変更することになりました。」

 

「ICAO(国際民間航空機関)が推奨する新たな「緊急時の衝撃防止姿勢」が示されたことを受けてのもので、前傾を取り、あごを引き、頭を前の座席に付け、両手を頭の後ろに置く姿勢を図示したものとなった。」

 

とのことです。


teikokyo.gr.jp

travel.watch.impress.co.jp

 

確か以前は前席に手をかけてそこに頭を付けるような姿勢でしたが、この姿勢は今回の改定で非推奨姿勢となり、180度方針転換されています。

 

改定されて既に2年が経過しているわけですが、恥ずかしながら私は改定後に既に何度か飛行機に乗っているものの、改定された内容を今回初めて知りました。飛行機を利用する方々は果たしてどれだけの方々がご存じなのでしょう。緊急時にCAさんが懇切丁寧に教えている暇なんてないでしょうから、事前に安全のしおりや安全のビデオをきちんと見て少しでも生存確率が上がる方法を知っておくのは重要です。今後肝に銘じておきます。

 

見た感じほぼ満席。私の隣はたまたま空席でした。

 

プッシュバックされて出発です。

 

お隣にはJALA350さん。

それにしても今日の天気は絶好の曇り!なぜ曇りが絶好なのかというと、離陸上昇する際に雲を突き抜けられるから。低く立ち込めた雲に突っ込んでいくときの「大丈夫?雲にぶつかっちゃうよ」という非科学的なドキドキ感や、雲に入った時に窓の外を高速で流れる雲を見た時の疾走感、そして雲を突き抜けた瞬間にまぶしい太陽が降り注いでくる爽快感、これらが私はたまらなく大好きなのです。
ちなみに着陸は晴れている方がいいです。目的地を空から眺めたいから。
というわけで、昨日の沖縄着は晴れてたし、今日の787の離陸は曇ってるし。最高の天気で嬉しい限りです。

 

さあ離陸。南向きに離陸しましたので眼下には瀬長島ウミカジテラスが見えます。

 

雲にぶつかるー!?

 

雲に突入。

雲を突き抜けてまぶしい太陽が新しいピカピカの翼端に反射しています!頭の中ではドラゴンボールZの主題歌が流れています。

www.uta-net.com

 

ちなみに、787はエンジン音が静かと聞いたことがありますが、エンジンの出力が最も高い離陸時に耳を澄ましてみましたところ、言われてみればそんな気もしないでもない、くらいでした。エンジンから座席までの距離にもよりますしね。個人的には決してうるさくはなかったです。

 

巡行中。高度41000ft (12497m)、外気温-69°F (-56°C)、対地速度657mph (1059km/h)。結構高いところを飛ぶんですね。気温は-69°Fかー、思ったよりも低いんですな。

 

高度41000ft。青と白だけの世界。787のシャープな主翼の形はとても絵になります。

 

さて、機内エンターテインメントで飛行ルートを見るのが楽しみの一つ。で、触ってみると、計8つもモードがあり驚きました。画面下をタッチして選べます。

 

1.航空機360°。画面を触ると機体を任意の角度に動かせます。

 

2.フライトルートと、3.ワールド・エクスプローラー。(二つの違いはよく分かりませんでした。)

 

4.左側窓。

 

5.コックピット。

 

6.右側窓。

 

7.現在地。

 

8.デイ&ナイトモード。

 

と、盛りだくさんです。なんだかんだ言って私は全体のどのあたりにいるのかが分かる「2.フライトルート」が一番好きです。

 

他にも映画や音楽などがたくさんありましたが、国内線の短い時間では見切れないので残念ながら今回は見ていないです。

 

ただ、斜め前の席の人が見ていたTRFのライブツアービデオは個人的に興味をそそられました。これを採用したANAさん、そしてそれを選んだ斜め前の乗客さん、ナイスチョイスです!

 

さて、時間は限られていますので、ここからはお邪魔にならないよう気を付けながら機内を散策

 

まずは最寄りのR4ドア。

続いて、R4ドア後方のトイレ。蓋と便座に持ち上げ用のタブがついてます。細やかな心遣いの設計に恐れ入ります。

 

787は温水洗浄便座が使われているとよく聞くのですが、あいにく普通の便座でした。全機がそうというわけでないのですね。ちなみに、一部のトイレには窓があるとも聞いていましたが、全トイレを回ったわけではないですが私は遭遇できませんでした。

 

R4ドア前のアテンダントシート(CAさんが座る座席)。
そして、よく見るとその右側の画面が消えているモニター、他の座席よりも画面が一回り小さいですよね。そう、これは乗客用ではなくCAさんが機内の諸々の設備を操作するためのものなので、他と仕様が違うみたいです。
また、その2列前の窓側の席の背面にはモニターがありません。ここには座席がないからです。
どの座席もまとめて同じシートにしてしまった方が設計やら維持・整備やらが楽に思えなくもないですが、もしかしたらモニターは一つのコストが結構かかるから無くした特注シートにしてもまだお得なのかもしれません。

 

R4ドア前から前方を視る。広角モードで撮影しているというのもありますが、天井が高いですね。私がよく乗るのはB737A320といった小型機がほとんどなので、さすが中型機は室内空間の広さが違います。

 

 

L2ドア(写真上)とR2ドア(写真下)。

ここに来て言葉にならない思いがこみ上げてきました。そう、この付近が私が16年間開発設計に携わっていた辺り。今更ながら、堂々と飛んでくれているではありませんか。ちゃんと多くのお客様を乗せて世の中のお役に立てているではないですか。しかも、まさか自分が携わった飛行機に自分で乗って空を飛ぶ日が来るなんて。いろいろと苦労したことも多々ありましたが、こうして自分の目で確認することができて全てが報われた思いです。これがものづくりの醍醐味なんですな。うるうる。

 

R4ドア付近に戻り、CAさんがお手すきであることを確認して、今日の搭乗理由、787を運用してくださっていることへの感謝、乗ってみた感想、この機体がエバレット工場最後の787であることなどを雑談したら、とても感激されました。CAさんも今日の機材変更で新しい機材に乗れることになって楽しみにしていたそうです。

 

そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎ、機体は降下を始め、房総半島上空まで来ました。

 

着陸時は願い通り晴れていてくれたので嬉しいです。

房総半島最南端の野島岬(写真の一番右側に突き出ている箇所)。

 

陸上自衛隊木更津駐屯地。滑走路があるのを初めて知りました。

 

アクアラインと海ほたる。羽田空港はもう目と鼻の先です。

 

D滑走路脇を通過。

 

A滑走路34Lに無事着陸。飛行中は上にしなっていた主翼も、着陸したらスポイラーを立てていることもあり下にしなっています。それにしてもスポイラーの裏側はピッカピカじゃないですか

 

第2ターミナルの61番スポットに到着。お隣さんも787。

 

プッシュバックされるお隣さんの787-8 (JA829A)、機齢約6年。よく見ると、ドアの周りにボーディングブリッジの四角い枠の跡がくっきりと付いています。787は跡が付くと噂に聞いたことがありましたが、確かに付いてますね。他の機種はどうなんでしょう。

 

さて、到着してしまいました。実は先ほどCAさんに一番最後に降りる旨を予め伝えておきましたので、他の乗客の方が降りてから私はCAさんと少しお話ししながら前方L2ドアへ向かいました。降りる際には、お忙しいでしょうからと辞退したのですが、記念にとL2ドア付近にて写真を数枚進んで撮ってくださいました。


CAの皆様、その節はいろいろと心温まるおもてなしを頂きましてありがとうございました。頂いたメッセージカードは大切に保管しています。おかげさまで生涯忘れることのない記念のフライトになりました。心から感謝申し上げます。これからも787をご活用頂き、乗客の皆様とともに素敵なフライトを重ねられることを祈念いたします。

 

さらばJA937A。また逢う日まで...

 

 

 

 

 

...と感傷に浸っていたのですが、そういえば展望デッキに行けばまだ見られるんじゃない?!と気付き、行ってみたら、いましたいました。次の便に向けて準備していました。

パイロットさんに手を振ると振り返してくれました!感動。

私の便が到着してから約50分後にはプッシュバックされ旅立っていきました。ありがとーう、行ってらっしゃーい!

 

続く。